2005/11/18

Web版・日本一美しい村へ行ってきた(1)

YW11月27日号で好評を博した「日本一美しい村へ行ってきた」のWeb版です。 本誌では紹介しきれなかった写真で、大蔵村の魅力を再び感じてください!
肘折温泉の朝市 肘折温泉の朝市は湯治客で賑わう
   
ハウスでのしいたけ栽培 ハウスでのしいたけ栽培
   
家主は茅葺職人 家主は茅葺き職人
   
四カ村の棚田 日本の棚田百選に認定された「四カ村の棚田」
   
きれいな青空 青空がきれいなのは澄んだ空気のおかげ?
   
馬頭観音 伝説が伝わる馬頭観音
   
ブナの原生林 ブナの原生林
   
男沼 貴重な水生植物が生息する男沼
   
田んぼの横で正月の豆作り 刈り入れが終わった田んぼの横で正月の豆作り
   
作業の途中で一休み 作業の途中で一休み

 

(本誌バックナンバーはこちらから)

Hanako世代シリーズ漫画編(5)

★はいからさんが通る(1975)

紅緒と少尉
オトコがだめならオンナがカバー

 これも連載当時、少女たちに絶大なる人気を誇っていた
大和和紀の時代コメディーである。

 大正ロマンの薫りが満ち溢れていたころの東京を舞台に、
ハイカラな女学生、花村紅緒が親同士の決めた婚約者、伊集院
忍少尉と出会って恋に落ち、試練を超えて結ばれるまでが描かれる。

日本軍や馬賊、米騒動、関東大震災なども登場するが、紅緒を
取り巻く、少尉を含めて4人のオトコたちがそれぞれ魅惑的だ。

 紅緒は女学校では落ちこぼれ、性格は大酒飲みの酒乱で
けんかっ早い。女らしくフランス人形さながらの容姿を持つ親友、
環と対局に位置する。

しかし、その型破りなところが、華族制度や日本という枠組み
の中で息苦しさを感じている少尉を惹きつけ、愛される。

 少尉は、紅緒との結婚についてこう言う。 

 「かの女は夢を見てそれを現実にかえることのできる人だよ 
ただ夢をみてるだけのぼくとはちがうんだ」

 少尉は、紅緒の個性を認め、行動力に期待している。

 しかし、2人の恋は、少尉が九州への転属やシベリアへの
出兵などで行方を阻まれる。戦死の知らせが届くと、紅緒は
少尉の代わりに、少尉の祖父母を守り、膨大な借金を返す
ため職業婦人となって家を守る。

 型破りだが、内に切ない気持ちを秘めたヒロイン像という
のは、少女漫画にはよくあるパターンだ。しかし、仕事を
探す紅緒は、今見ても十分にたくましい。

 女嫌いの社長が経営する出版社に紅緒が初めて訪れた
ときの、社長と紅緒の会話はこんな風だ。
 
「なに?就職?きさま女のぶんざいでか?」

「ことわる!おれは男をしょうかいしろといったのだ 
女ごときにさせる仕事はない!」

 「失礼だわ 女だって仕事はできます 現にわたしの
なくなった母は女性記者でした」
 
 「とにかくおれはてっていした男尊女卑なのだ!
したがって女はやとわん!帰れーっ」 

 「ははーん わかった よーするにおそれてんのよねー
 女に仕事ができるとなると男の権威が失墜すると思って」

 結局、紅緒は入社し、取材現場でもオトコの仕事場に
でしゃばってくるようなやつはオンナじゃないなどと陰口
をきかれる。
すると、ここに助っ人として現れるのが、親友、環である。
 
 「くやしかったら殿方らしく女子どもにまけない仕事を
なさいませよ」

 どうだろう。ここでさりげなく語られているのは、
仕事をするオンナの本音なのだ。

 これは大正時代だけに限った会話ではない。およそ、
どんな業種、仕事であれ、就職活動や仕事を続ける上で、
女性であることを理由に、理不尽な扱いを受けた経験を
もたないオンナがこのニッポン社会にいるだろうか。 

 さて、紅緒に思いを寄せる4人のうち、もっとも魅力的なの
は、紅緒の上司で出版社の編集長、青江冬星だ。

 冬星は自分が好きな出版の道に進んだために家業を
強いる親とは断絶していたが、恋敵であるはずの少尉
を助けるために、出版社をたたんで家に戻ろうとする。

 オンナがその人を愛しているからという理由で、
自分の恋敵のために自分の生き方さえも
変えようとするのだ。

 そして、物語は関東大震災でドラマチックに大団円を
迎える。

 オンナは型破りで行動的でたくましくていいのだ。

 さらにいえば、

 「わたくしたちが殿方に選ばれるのではなく、わたく
したちが殿方を選ぶのです」

 という環の言葉もまた、この作品の全編に繰り返し
出てくるメッセージであり、
少女たちの脳裏にしっかりと刻まれたのだ。

2005/11/17

Hanako世代シリーズ漫画編(4)

【エースをねらえ!】(1973)

★ひろみと宗方コーチ

自分の人生のすべてを注ぎ込む

 ベルばらと同じころ、週刊「マーガレット」に連載された
山本鈴美香のスポ根漫画。こちらも連載が始まった途端、人気が
爆発し、当初の6回完結の予定が連載は8年にもわたった。
日本のテニス人口の底上げにも多いに役立った作品だ。 

 テニスの名門高校、西校テニス部に入った一年生岡ひろみが、
新任の宗方仁コーチに才能を見出され、才能を開花させていく
。ひところのバレーボール漫画に見られた魔球は登場せず、
テニスにかける主人公と周囲の人々の生き方が描かれている。

 当時、テニスはまだ一般的ではなかった。天皇ご夫妻の
出会いの場となった軽井沢の恋から10数年がたったころ。
連載を開始する時、作者の手元にあった資料は、ルール本と
指導書、テニス雑誌の計3冊のみ。

「スポーツを通した人間ドラマを」という依頼で、山本が
「さわやかなイメージがある」と選んだのがテニスだった。

容姿、言動ともに、いまみても高校生離れしているお蝶夫人
こと、竜崎麗香の「孤高の美」も、大いに少女たちのヒロ
イズムを刺激した。

 で、オトコのオンナの関係性から見ると、
ひろみの恋愛相手は、同じテニス部の先輩で生徒会長を
つとめる藤堂貴之なのだが、「こんな愛が……」と
強く印象づけたのは、ひろみを徹底的に鍛え上げる鬼コーチ
宗方の方だろう。

 宗方は将来を嘱望されていた有望選手だったが、
不治の病を抱えた上、プレイ中の事故が元で選手生命
を絶たれていた。家族関係も複雑だ。死を意識しながら
自分の技術と知識を注ぎ込む存在をさんざん探した末、
ひろみに出会った。

 「おれはまるでせきとめられた激流だった 
苦しかった どこかへ流れたかった (略)もうこの世
におれのながれる出口はないのかとあきらめかけて
やっと岡にあった 出口……くるうほどさがしもとめた
おれの出口」

 ところが、ひろみは前述のように、藤堂先輩に恋心を
抱く。2人の仲を知った宗方コーチは、藤堂に対してこう
釘をさす。

 「おなじあいてに打ち込む者としていう 男なら 女の
成長をさまたげるような愛し方はするな」

 そして、ひろみにはこう言うのだ。
 「恋をしてもおぼれるな 一気にもえあがり、もえつきる
ような恋はするな」

「わすれるなよ テニスで挫折すれば恋にもやぶれるぞ 
女に価値があれば男はまつ またせるだけの女になれ」
 
 間もなく死を迎えることを自覚したとき、宗方は藤堂に
ひろみを愛していることを告げ、心情を吐露する。

 漫画を三コマにわけて、一コマずつ
「愛してる」「愛している」「愛している」と、
首の角度を変えながらの告白……。そして、

 「これほど愛せる相手にめぐりあえるとは思わなかった
 生きてきてよかった!」

 その上で、
 「岡をたのむ 打てる手は総て打った あとはお前が
常にそばにいてささえてやってくれ……!」
  
 すると、藤堂はこう受ける。
 「あなたが彼女の中にはいって永遠に生きるなら……
ぼくは……彼女をつつんで命ある限り……」 

 ひろみは、自分を巡って2人がこんなやりとりが
しているとは全然知らない。コーチの気持ちにも気付いて
いない。「女であることに甘えるな」と宗方からパワーテニス
を目指すよう指導され、ただ、テニスだけをしていればいい。
すると、おもしろいように強くなり、世界の強豪たちに勝っていく。 

 その後、宗方の死などを経て、藤堂はひろみを支える
ために選手をやめてコーチの道を選ぶ。世界中を巡るテニス
の選手同士では、すれ違いが目に見えている。

 だから選手生活をあきらめ、愛する女性を支えぬく
ことを優先させた。

 ひろみの周りには、この2人のほかにもサポート部隊の
オトコたちが老いも若きもたくさんいる。
なかでも、西校の先輩、新聞記者志望の千葉鷹志は
献身的だ。

 ひろみの試合があるたびにスコアと写真を記録し、
合宿や海外遠征にも必ずついてくる。なんというマメさだろう。

 一人のオトコが自分の生をかけて愛して鍛えたオンナを、
別のオトコたちが脇からがっちりと支える。
 強力に引き上げる存在と、後ろから押し上げてくれる
存在。これは完璧だ。
 
 同じころ、月刊「りぼん」に連載していた「アラベスク」
も、クラシックバレエを題材に鬼コーチ、ユーリと泣き虫
ノンナの師弟愛が描かれるが、「エースをねらえ!」の
ひろみの方が、オトコたちが束になって強力にサポート
をしている分、ぜいたくな環境だったといえるだろう。

(続)

2005/11/16

Hanako世代シリーズ漫画編(3)

(Part2)

 さてそれでは実際、少女漫画の著名作品は、オトコとオンナを
どう描いているか、作品ごとに見ていきたい。

取りあげた作品は、すべて連載作品で、中には連載が何年も
続いた長期連載も多いが、便宜上、雑誌で連載が始まった年を
いれることにした。

年代順にいって最初は、まず「ベルばら」である。

【ベルサイユのばら】(1972)
★オスカルとアンドレ 
何があっても命をかけて愛し続ける存在

 黄金の髪を持つ男装の麗人に、ぴったり寄り添う従者――
74年に宝塚で舞台化されたことから、社会的にも大ブームと
なったが、週刊「マーガレット」連載当初からオスカルは、
当時の少女たちの憧れの対象だったと言っていい。

 オスカルは、由緒ある将軍家に生まれた女性だが、後継ぎ
である軍人として育てられ、ふだんは男装している。

 高度成長期、年ごろの未婚女性の憧れはサラリーマンと
結婚して専業主婦となり、鉄筋コンクリートの公団住宅や団地に
住まうことだった。連合赤軍事件が世を騒がせた年だ。

そんなサラリーマンと専業主婦の両親を持つ少女たちの前に
突然、フランスの宮廷や、少女漫画のヒロインを超越した存在
が現れたのだ。どれほど衝撃だったことだろう。

 それまでの少女漫画のヒロインが、「女らしさ」「可憐」
「素直」「薄幸」「けなげ」「明るく」「はつらつ」などの
要素を必須としたのに対し、オスカルには「りりしさ」と
「強さ」があり、「意志」と「行動力」を持っていた。

 それでいて、女だてらになどと非難されることはなく、軍人
として要職につき、女性はもちろん、荒くれモノの男性の部下
たちからも、女性として愛される。

 この作品は、池田理代子がフランス・ベルサイユ宮殿を
舞台に、オーストリアの皇女マリー・アントワネットがルイ
16世の元に嫁いでくるところからフランス革命で断頭台の露と
消えるまでをつづる本格歴史大河ドラマ。

 オスカルとその従者アンドレ、アントワネットとスウェーデン
貴族フェルゼンの4人の愛が、縦横無尽に描かれた。

 物語を彩るのは、少女漫画ならではの、ドレスや縦ロール
といったきらびやかな世界。しかし中で描かれる登場人物たち
の愛はどれも読者の心を切なくさせる、つらいものだった。

 すでに皇太子妃だったマリー・アントワネットと、フェル
ゼンの愛は相思相愛でもかなうはずもなく、男性からも女性
からも求愛されるオスカルの恋もままならない。思いを寄せる
相手はフェルゼンで、フェルゼンの気持ちはオスカルに向かない
からだ。

 そして、そのオスカルを愛するのが、オスカルと幼いころ
から同じ屋敷内で育ち、兄弟以上に魂を寄せ合う従者アンドレ
だが、こちらも、平民と貴族という身分違いの壁に阻まれて
いる。

 革命への機運が高まるなか、オスカルは次第に身分制度に
疑問を抱くようになり、同時に自分を愛し続けるアンドレ
に応えたいと思うようになる。

 オスカルは言う。
「よかった……すぐそばにいてわたしをささえてくれる
やさしいまなざしに……気づくのがおそすぎなくて……」

 そうして結ばれた翌日、アンドレは、「おれはいつかおまえ
のために命を捨てよう」と誓っていた通り、オスカルをかば
って銃撃を浴び、命を落とす。

 オスカルとアンドレは、歴史上には登場しない。しかし、
自分の意思で行動し、場合によっては当時の社会規範から
の逸脱も辞さず、男性も女性も惹き付ける。
 
 性別を超えたこうしたキャラクターを少女たちは受け入れ、
熱狂的に支持した。
 
 勇気ある行動を取るには、「男装」という他者とは違う
スタイルを取らなくてはならず、それゆえに普通の女性の幸せを
手に入れることができない。――そうしたジェンダーゆえの
壁も、無意識のうちに受け取っていた。

 それと同時に少女たちの頭には、行動するオンナと、その
オンナを影のように支えて無償の愛を注ぎ続けるオトコという
モデルが、強烈にインプットされたのだ。 (続)

2005/11/15

Hanako世代シリーズ漫画編(2)

 しかも、浮かび上がったのは、オンナは意志をもって
わが道を突き進み、それをオトコが支えるパターンだ。意中の
オトコが頼りない場合、うまい具合に周囲がサポートしてくれる。

 その際、オトコはそれと引き換えにさまざまなものを
犠牲にする。
何よりも大切にしてきた仕事や、能力を発揮できる場など。生き方
そのものを変え、文字通り命をかける場合もある。面白いほどに
女性は自分本位ですべてがうまくいくのだ。
                 
 少女漫画の世界だからといってしまえばそれまでだが、Hana
ko世代がこれらを読んだのは、小学生から中、高校生にかけて、
である。そのころ読んだものは、往々にして脳髄の奥深くまで
浸透するものだ。

 フランスの作家で思想家のボーボワールは、「第二の性」
(1949年)で、男性に隷属したような生き方に甘んじている女性に
対して問題提起をしたが、この作品は、昔も今もフツーの小学生の
女の子が読むものではない。
 
 Hanako世代は、男女共同参画社会などという言葉が
まだカケラもないころから、これらの少女漫画からフェミニズム
のエッセンスを学んだのだ。


★自分本位と友情・努力・勝利

 前述の長谷川きよしの「黒の舟歌」が大ヒットしたのは、1971年。
ちょうど同じ年、日本では映画「小さな恋のメロディ」や
「ある愛の詩」などの純愛モノがヒットしていた。

 まだ男女雇用機会均等法や海外旅行ブームは、影も形も
なかったし、当時、オンナが強い意志をもってわが道を突き進む
ことは、今とは比べ物にならないぐらいごく一部の例外だった。

 だからこそ、現実社会の裏返しとして、20代だった女性作家
たちが思いを込めて、少女漫画というメディアで作品をつむいだ
のだろうし、それを、Hanako世代は砂地に水が滲みこむ
ごとく吸収したのだ。

 そのころの少年漫画といえば、梶原一騎のスポ根漫画や
「ドカベン」「釣りキチ三平」「キャプテン」などだ。

 オトコたちが深く学んだ「友情、努力、勝利」と、少女漫画の
根底に流れる「自分本位のフェミニズム」。

オトコとオンナが読んできたものには、確かに大きな差が
あったのだ。            (続)
           

2005/11/14

Hanako世代シリーズ漫画編(1)

男女の溝を深めたのは「少女漫画」だった?
Hanako世代が読んできた少女漫画
〜ベルばら、エースから、のだめまで〜

 日本は少子高齢社会へとひた走っている。男女とも独身者は
増え、合計特殊出生率も下げ止まらない――そんなニッポン社会
の変容に対して責任の一翼を担うのは、30代、40代の女性たち、
いわゆる元祖Hanako世代の女性たちだ。ちょうどこの世代
は名作と名高い少女漫画を読んで育った。それらの作品を、男女
の関係性から読み解いていまのニッポン社会の変容と関わりがある
のか、見ていきたい。

    (Part1)  漫画の話に入る前に、少々長い説明をしたいと思う。
 「男と女の間には深くて暗いかわがある」と唄ったのは、長谷川
きよしだったが、暗いかどうかは別として、Hanako世代の
オンナと、同世代のオトコとの間には、くっきりはっきりとした溝
がある――。

 筆者がこう断言できるのは、Hanako世代の女性たちについて、
週刊誌「読売ウイークリー」で集中してその実像に迫ろうとし、同時に、
同世代の男性たちにも目を向けてきたからだ。

 Hanako世代というのは、高度成長期とともに育ち、社会人に
なったころにバブル経済を経験してグルメや旅行、ブランドに囲まれて
青春時代を謳歌した――とされる女性たち。
1960年代生まれがだいたいそうだ。

 筆者もその一人だが、自分と周囲を見渡せば、個人差はあるだろう
が、”時代の空気”が確かにあった。

 財団法人「家計経済研究所」が10年以上継続する、Hanako世代
の女性1500人を対象にした唯一の本格パネル調査、読売ウイークリーが
「結婚」「すれ違う男女」「セックスレス」などのテーマで行う各種調査
と当事者たちへのインタビューetc――。

 これらから明らかになってきたのが、前述の「オトコとオンナの溝」。
さらに、戦後のニッポン社会は80年代半ば頃に大きなギアチェンジをし、
それ以前と以降で価値観は大きく変わったらしいということだ。

★溝は80年代に深まった

 そこで、オトコとオンナの溝がどのように深まったのか、本当に80年代
を境に価値観の変化は見られるのか、
読売ウイークリー(2005年4月10日号)の特集「相談男が増殖中」で、雑誌
メディアから読み解いてみた。

 すると、どうだろう。80年代以降、どんどん女性は積極的になり、一方の
男性は弱体化していく傾向が歴然と現れていたのだ。その際、作成した
「こうしてギャップは深まった」年表(別表)を見て欲しい。

 たとえば、80年代、JJなど、読者参加型の女性誌は一般的になった。
アンアンは84年4月6日号でSEXを大特集し、ごく普通の女性たちが顔写真
付きで告白して世間を驚かせた。
 国内初の男性向け週刊誌「平凡パンチ」創刊号(64年)に登場した女性は
女優や銀座のバーで働く女性たちに限られていた。
20年の差はなんと大きいことか。
 何が、80年代のオンナたちの快進撃につながるのか。

 少女漫画を読んで育った筆者には、その一因として同時代の少女漫画が
Hanakoたちの精神構造に大きく影響しているとしか思えない。
何しろ、同世代の漫画好きと漫画の話題になると、30年以上前に読んだ作品
であろうと、記憶があふれ出し、ストーリーはおろか、決めゼリフがすらすらと
口に出ることも少なくないのだ。

★70年代に集中する名作

 そこで筆者は、実際に読んで育った少女漫画の中から、当時、同世代に
絶大な人気があったものや、オトコとオンナの関係性において興味深いもの
を選び、年表に書き加えてみた(別表※印)。その結果、70年代前半から
80年代にかけてこれらの作品が集中していることが改めてわかった。
                              (続く)

 

 こうして男女の溝は深まった (参考年表)
  社会の出来事  メディアのトピック
 ※印以降は、少女漫画の作品タイトル
  モテたい男の時代  
1964 東京オリンピック 初の男性誌「平凡パンチ」が創刊
1966   「週刊プレイボーイ」が創刊
1967     ※「小さな恋のものがたり」が出版 
1969 東大安田講堂が
落城
「8時だヨ!全員集合」が放映開始
1970 大阪で日本万博 「あしたのジョー」で力石徹死す
1971     ※「アラベスク」
1972 連合赤軍事件 性交テクニックを図解した「HOW TO SEX」がベストセラーに
  ※「ベルサイユのばら」「ポーの一族」
  男女共存の時代  
1973 石油ショック TV「プロポーズ大作戦」が放映開始
  ※「エースをねらえ!」
1974     ※「トーマの心臓」「デザイナー」
  ※「たそがれ時に見つけたの」
1975     ※「はいからさんが通る」
  ※「キャンディ・キャンディ」
1976     ※「ガラスの仮面」
  ※ 「風と木の詩」
1977     ※「砂の城」
  ※「バナナブレッドのプティング」
1978     ※「綿の国星」
1980 金属バット事件 「とらばーゆ」創刊。「金八先生」など学園ドラマが人気
1982     ※「日出処の天子」
1985 いじめ、登校拒否
が社会問題に
女子高生が出演するテレビ番組「夕やけにゃんにゃん」が話題
1986 NTT株売り出し
株高騰
男性ファッション誌「メンズノンノ」が創刊
  女性快進撃の時代  
1987 女性総合職の第1期生が職場に 番組中に男性が告白する「ねるとん紅鯨団」放映開始(〜1994年)
  ※「ぼくの地球を守って」
1988 リクルート疑惑 「平凡パンチ」休刊。女性誌「Hanako」が創刊
1989 昭和天皇崩御 「アンアン」が特集「セックスで、きれいになる」を掲載 
  ※「pink」
1991 バブル崩壊と湾岸戦争 TVドラマ「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」大ヒット
  悩める男の時代  
1995 阪神大震災、
地下鉄サリン事件
ウィンドウズ95が発売。パソコン、インターネットが浸透し始める
1996     ※「彼氏彼女の事情」
1997 神戸児童殺傷事件 不倫をテーマにしたTVドラマ「失楽園」「不機嫌な果実」が話題
1999 銀行の再編続く 携帯電話の加入数が500万を突破 
  ※「NANA]
2001     ※「のだめカンタービレ」
2004 新潟県中越地震   「電車男」が出版 「冬のソナタ」を始め、韓流大ブーム
   (読売ウイークリー2005年4月10日号より ※以降は今回新たに挿入)